
ルテニウム触媒を用いてアルコールとアミンから直接アミドを合成する方法が Science に報告されました [論文]。反応は極めてクリーンで副生成物として水素を発生するだけだそうです (酸化剤や縮合剤は不要)。
この研究の背景として、Milstein らはルテニウム触媒を用いた1級アルコールをヘミアセタールを経由してエステルへと変換する方法を報告しています(Dalton Trans., 2007, 107-113.)。ここで、アルコールにアミンを加えればヘミアミナール経由でアミドができるのではないかと考え、試みたのが本報だそうです。実際、芳香族・脂肪族アミドを収率よく合成することに成功しています。
さて、気になる反応機構は次のように提唱されています。

まずアルコールを触媒的に脱水素化しアルデヒドにします。アルデヒドはアミンと反応してヘミアミナールへ。これがさらに触媒的に脱水素されてアミドを形成するそうです。このプロセスにおいて、触媒の非芳香族化されたピリジン単位が可逆的に芳香族化すること、アミンリガンド部が可逆的に開閉するところが「ミソ」なようです。
ちなみにアルコールやヘミアミナールがルテニウムに結合することからわかるように、この反応は基質の立体障害に敏感です。アルコールやアミンのα位に置換基が入ると収率が低下、また2級アミンではアミドを生成せず、アルコール2分子からエステルができるだけだそうです。
1つ個人的に気になったのは、反応機構で 2→1 がちょっと疑問です。2→1 のメカニズムを明らかにして欲しいし、2→A/C な経路の可能性もありそうな気がするのですが…。みなさま、いかがでしょうか?
[論文] "Direct Synthesis of Amides from Alcohols and Amines with Liberation of H2" Chidambaram Gunanathan, Yehoshoa Ben-David, David Milstein, Science, 2007, 317, 790.