2015 年も残すところあと数十分。皆様いかがお過ごしでしょうか?
年末年始に、たいして興味もないバラエティ番組を惰性で見るくらいだったら、「MBLA 10周年記念特別講演会」 の動画を観てはいかがでしょうか?
⇒ Lectureship Award MBLA10周年記念特別講演会
2015年3月に開かれた 「MBLA 10周年記念特別講演会」 での、10名の歴代受賞者による講演の動画 (約15分/人、英語) が公開されています。講演者 (敬称略) は、浦口 大輔、鳶巣 守、新谷 亮、松永 茂樹、中尾 佳亮、大森 建、伊丹 健一郎、寺尾 潤、金井 求、井上 将行、の各先生方です。各先生方の研究のまとまった話が視聴できて、論文を読むのとはまた違った刺激を受けられるかもしれません。
それでは皆様、よいお年をお迎えください。
MBLA 10周年記念特別講演会の動画
気ままに有機化学 2015年12月31日
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Jin-Quan Yu 先生の講演動画
C-H activation の分野で有名な Jin-Quan Yu 先生。2014 年の論文だけでも、Nature 2 報、Science 2 報、JACS 9 報、Angewandte 4 報など。その凄まじい成果に、開いた口が塞がらないどころか顎まで外れそうなのは、きっと私だけではないはずです。
Yu 先生の 43rd National Organic Chemistry Symposium 2013 での講演動画が YouTube にありました。Yu 先生の chemistry を学ぶにも、英語の講演を聴く(英語のプレゼンの仕方を観る)にも良い機会かと思います。動画は1時間強ありますので、ご興味ある方は年末年始のお時間あるときにどうぞ(パソコンで全画面表示にするとスライドの内容も見えます)。
[関連1] C-H活性化触媒を用いる(+)-リゾスペルミン酸の収束的合成 (化学者のつぶやき)
[関連2] フェニル酢酸を基質とするC-H活性化型溝呂木-Heck反応 (化学者のつぶやき)
Yu 先生の 43rd National Organic Chemistry Symposium 2013 での講演動画が YouTube にありました。Yu 先生の chemistry を学ぶにも、英語の講演を聴く(英語のプレゼンの仕方を観る)にも良い機会かと思います。動画は1時間強ありますので、ご興味ある方は年末年始のお時間あるときにどうぞ(パソコンで全画面表示にするとスライドの内容も見えます)。
[関連1] C-H活性化触媒を用いる(+)-リゾスペルミン酸の収束的合成 (化学者のつぶやき)
[関連2] フェニル酢酸を基質とするC-H活性化型溝呂木-Heck反応 (化学者のつぶやき)
気ままに有機化学 2014年12月30日
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ChemDraw の Align 機能: 分子の部分構造で揃える方法
ChemDraw で複数の構造式を整列させるときには Align 機能が便利です。例えば、上央揃えにするには、「Object → Align → Top edges を選択」 あるいは 「Alt+Shift+Ctrl+T を入力 (ショートカットキー)」 でできます。実際に、例えば、下図の3つのピペラジン化合物を選択して上揃えをかけると、ピペラジン環が整列します。

さて、では下図の3つの化合物をピペラジン環の上下位置を揃えるように整列させたい場合にはどうすればよいでしょうか?3つの化合物すべてを選択して Align をかけると、分子全体で揃えるのでズレてしまいます。

実は、それぞれの分子の1点ずつを選択して Align をかけることが可能で、分子の部分構造で揃えるには便利です。例えば、下図のようにピペラジン環上の対応する炭素原子をそれぞれ選択して上下中央揃えをかけると、ピペラジン環で揃います (上揃えや下揃えでも OK。ちなみに、窒素原子やピペラジン環を選択すると、NH 部分は H が含まれる形で認識されるためうまく揃いませんのでご注意を)。

では下図でピペラジン環で揃えつつ矢印をピペラジン環中央に配置したい場合はどうでしょうか?

下図のように、それぞれの分子のピペラジン環中央の C-C 結合と矢印を選択して上下中央揃えをかけると、きれいになります (クリック数が増えるのであまりオススメはしませんが、ピペラジン環中央の C-C 結合の代わりに、ピペラジン環の2位と3位の炭素原子を両方選択しても OK)。

以上、それぞれの分子の原子1個ずつや結合1個ずつを選択して Align することで、分子の部分構造で揃えることができるという tips でした。普段は見た目で適当に揃えたりグリッドを表示させて (View → Show Crosshair) 手動で合わせてもいいと思いますが、揃えたい分子の数が多い場合や正確に揃えたい場合には役に立つと思います。
[関連] ChemDraw を使いこなすための参考資料 [日本語] (気ままに有機化学)

さて、では下図の3つの化合物をピペラジン環の上下位置を揃えるように整列させたい場合にはどうすればよいでしょうか?3つの化合物すべてを選択して Align をかけると、分子全体で揃えるのでズレてしまいます。

実は、それぞれの分子の1点ずつを選択して Align をかけることが可能で、分子の部分構造で揃えるには便利です。例えば、下図のようにピペラジン環上の対応する炭素原子をそれぞれ選択して上下中央揃えをかけると、ピペラジン環で揃います (上揃えや下揃えでも OK。ちなみに、窒素原子やピペラジン環を選択すると、NH 部分は H が含まれる形で認識されるためうまく揃いませんのでご注意を)。

では下図でピペラジン環で揃えつつ矢印をピペラジン環中央に配置したい場合はどうでしょうか?

下図のように、それぞれの分子のピペラジン環中央の C-C 結合と矢印を選択して上下中央揃えをかけると、きれいになります (クリック数が増えるのであまりオススメはしませんが、ピペラジン環中央の C-C 結合の代わりに、ピペラジン環の2位と3位の炭素原子を両方選択しても OK)。

以上、それぞれの分子の原子1個ずつや結合1個ずつを選択して Align することで、分子の部分構造で揃えることができるという tips でした。普段は見た目で適当に揃えたりグリッドを表示させて (View → Show Crosshair) 手動で合わせてもいいと思いますが、揃えたい分子の数が多い場合や正確に揃えたい場合には役に立つと思います。
[関連] ChemDraw を使いこなすための参考資料 [日本語] (気ままに有機化学)
気ままに有機化学 2014年06月30日
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「実験が失敗したら大喜びしなさい」など江上語録を無料で読む方法
研究生活はいつも順風満帆とはいかない。壁に何度もぶつかる。この研究に意味があるのだろうか、方向が間違っていないか、どうすればこの壁を越えられるのか、どうして失敗ばかり続くのか、こんな結果はおかしい、自分は人生を誤ったのではないか、などなど。そんな苦しいときに力を与えてくれるのが江上語録である。
生命科学分野で自身が業績をあげるのみならず優秀な科学者 (お弟子さん) を数多く輩出した江上不二夫先生。その言葉「江上語録」はたくさんの科学者に影響を与えたそうですが、先生はもっぱらしゃべる人であまり書かなかったため、「江上語録」という本があるわけではありません。そんな無形文化財ともいうべき江上語録を、江上先生のもとで指導を受けた笠井献一先生が解説とともにまとめた 『科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと』 が最近出版されました。
例えば、江上語録の中で弟子なら真っ先に思い出すのが次の言葉だそうです。
実験が失敗したら大喜びしなさい。
あえて常識と相反するような刺激的な言い方で「えっ」と思わせ、そこから自分のペースに引きずり込むのが先生の戦術だそうです。実際には次のような江上語録が続きます。
失敗と言っても、ビーカーをひっくり返して、中身を床にこぼしたなんていうのは論外だよ。私の言いたいのは、こうなるだろうと予想を立てていたのに、そのとおりの実験結果が出なかった場合のことなの。実験結果が予想どおりだったなら、実験は成功なんだけれど、そんな実験はたいして面白いものじゃないよ。予想できたことを確認できただけなんだから。たいしたことを発見できたわけじゃない。
確実に結果が予想できるような実験なんて、やってもあまり意味がないじゃない。どんな結果になるかわからない実験こそ価値があるのよ。そうして、もしも予想もしなかった結果になったら、そこにはまだ誰も知らない何かが隠れているということなんだ。世界をあっと言わせる大発見になるかもしれないんだから、君は大喜びしなければいけないよ。
この後には他の関連する江上語録や状況説明、生命科学分野での関連する事例などが解説されています。さらに、先生が論外と言った "ビーカーをひっくり返すような失敗" のような操作上の失敗から大発見につながった例なども紹介されており、江上語録だけでなく笠井先生の解説部分も本書の読み応えのある部分になっています。
有機化学分野でも予想外の実験結果からの大発見もたくさんあり、たとえば 試薬クイズ の事例は好例のひとつだと思われます。
そして個人的に非常に印象的だった江上語録がこちら。
予想を立てるには、自分のもっている知識を総動員しなければならないけれど、自然は人間の頭で考えられるよりもはるかに偉大で複雑だよ。これまで数えきれないほどの実験がやられて、たくさんの優秀な頭脳が考え続けてきたけれども、まだわかっていないことの方がずっと多い。これまでの知識をもとにどんなに素晴らしい予想を立てたところで、たいていは当たらない。そうなったときは謙虚に自分の未熟さを認めて、自然から教えてもらう。これが実験科学者の取るべき姿勢だよ。
さて、本書には上で紹介したもの以外にも数々の江上語録が掲載されていますが、そのうちのいくつかを無料で読む方法を発見しました。実は、Trends in Glycoscience and Glycotechnology に掲載されている、笠井献一先生自身が書かれた江上語録の紹介文献 (日本語版付き) が無料公開されているのです。下に各文献へのリンクを貼っておきます。
江上語録1 「実験が失敗したら大喜びしなさい」
江上語録2 「3ヵ月研究したら世界の最先端」
江上語録3 「牛馬的研究、銅鉄的研究も悪くない」
江上語録4 「私はおとなしい研究者だ」
江上語録5 「研究テーマを決めるにあたっては研究室の伝統を尊重しなさい」
江上語録6 「独創的研究を追い求めるな」
江上語録7 「ひとに見えない山をみつけたら、ぼくは早く登りたい。ひとにも見える山に登るなら、ぼくはゆっくり登りたい。」
『科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと』 にはこれら以外の江上語録や秀逸なエピローグもありますので、気に入った場合は本も読んでみてくださいね。
気ままに有機化学 2013年09月24日
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有機化学系あれこれ 2013/5/23
◆ 分子科学研究所 「夏の体験入学」
大学生と大学院修士の学生が対象。愛知県岡崎市の分子科学研究所で研究体験ができます。実施期間は 2013年8月5日〜8日。申込期間は 2013年5月20日〜6月14日。宿泊含めて無料、交通費一部補助。
◆ 化学グランプリ 2013
高校生以下の方が対象。申込受付期間は 2013年4月1日〜6月7日。参加費は無料。
◆ 失敗したときでも元気になれる化学者の名言集 (NAVERまとめ)
有機化学者メインの化学者名言集。気ままに有機化学からも ノーベル化学賞受賞者の名言集 を引用していただいていますが、研究者に示唆を与えてくれる、ノーベル賞受賞者の言葉 の方がきちんと出典を明記しているのでオススメです。
◆ ワイリー・サイエンスカフェより
・ 論文のソーシャル・インパクトを示すAltmetric scoreを、Angewandte Chemie, Advanced MaterialsなどWileyの一部ジャーナルで試験的に導入開始
・ いま読んでいる論文の引用状況を知りたいときは? Wiley Online Libraryの便利な機能Cited ByとCitation Alert
・ 化学をテーマにした写真コンテスト、応募作品のウェブ公開始まる(応募は7月28日まで)
◆ 本日の名言
「じゃあじゃあ、先輩は、別にテストもないのに、哲学を勉強してるんですか?」
星加は信じられない、というように尋ねた。
「君はテストのために学問をしているのか。日本銀行券という名の、慶應義塾大学の創設者の肖像画が印刷された紙切れを欲して、何の疑いもなく働くビジネスマンのように」
[出典] ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会、p.163
大学生と大学院修士の学生が対象。愛知県岡崎市の分子科学研究所で研究体験ができます。実施期間は 2013年8月5日〜8日。申込期間は 2013年5月20日〜6月14日。宿泊含めて無料、交通費一部補助。
◆ 化学グランプリ 2013
高校生以下の方が対象。申込受付期間は 2013年4月1日〜6月7日。参加費は無料。
◆ 失敗したときでも元気になれる化学者の名言集 (NAVERまとめ)
有機化学者メインの化学者名言集。気ままに有機化学からも ノーベル化学賞受賞者の名言集 を引用していただいていますが、研究者に示唆を与えてくれる、ノーベル賞受賞者の言葉 の方がきちんと出典を明記しているのでオススメです。
◆ ワイリー・サイエンスカフェより
・ 論文のソーシャル・インパクトを示すAltmetric scoreを、Angewandte Chemie, Advanced MaterialsなどWileyの一部ジャーナルで試験的に導入開始
・ いま読んでいる論文の引用状況を知りたいときは? Wiley Online Libraryの便利な機能Cited ByとCitation Alert
・ 化学をテーマにした写真コンテスト、応募作品のウェブ公開始まる(応募は7月28日まで)
◆ 本日の名言
「じゃあじゃあ、先輩は、別にテストもないのに、哲学を勉強してるんですか?」
星加は信じられない、というように尋ねた。
「君はテストのために学問をしているのか。日本銀行券という名の、慶應義塾大学の創設者の肖像画が印刷された紙切れを欲して、何の疑いもなく働くビジネスマンのように」
[出典] ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会、p.163
気ままに有機化学 2013年05月24日
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