気ままに水素移動反応

今回は気ままに水素移動反応について書き殴ってみました。
私の好みで書いてるのでここに書いてあることが水素移動反応のすべてではないです。
さて、私が水素移動反応としてまず思い浮かぶのはやっぱりこの2つの人名反応。

Oppenauer 酸化オッペナウアー酸化)

oppenauer.bmp

Meerwein-Ponndorf-Verley 還元メールワイン・ポンドルフ・バーレー還元

meerwein-ponndorf-verley.bmp

あとは Ru-ジアミン錯体を用いた 野依-碇屋不斉水素移動還元 が有名でしょうか。

noyori-ikariya.bmp

これらに共通して言えるのはすべて平衡反応だということ。
平衡を偏らせるために、酸化反応には酸化剤としてアセトンを溶媒に、還元反応では還元剤としてイソプロパノールを溶媒に使っているわけです。
とくに Oppenauer 酸化と Meerwein-Ponndorf-Verley 還元は逆反応の関係にあるため、「逆反応が別々の人名反応!?」なんて思ったことがある方もいるんじゃないでしょうか。

そんな水素移動反応ですが、この可逆性と別の反応と上手く組み合わせた触媒反応が増えてきたように思います。
つまり、アルコールの脱水素 → 別の反応 → 水素化 という触媒サイクルの反応です。

まずは京都大学の 山口・藤田研究室 による水素移動反応を利用した C-N 結合および C-C 結合形成反応です。いずれも他の反応でも可能な変換ですが、一段階で行える点、副生成物が水のみで原子効率が高い反応です。

080517-1.jpg

次は東京工業大学の 岩澤・草間研究室 と京都大学の 林研究室 によるα-アリールプロパギルアルコールのインダノンへの変換反応。2報とも JACS ですが、面白いことに全く同じ日に提出され、ほぼ同時期に出版されています。「世界には自分と同じ研究をしている人が3人はいる」なんて言いますが、両者ともかなり焦ったでしょうね。
さて、反応はほとんど同じで、両者共 Rh 触媒によるアルコールの脱水素 → ハイドロロデーション → 1,4-シフト → アリールロデーション というカスケードを想定しています。(下図は 岩澤・草間研究室 HP より拝借)

080517-2.png

最後に、つい最近報告された Krische らによるアルコールあるいはアルデヒドの酸化度からのカルボニルアリル化反応です。残念ながら反応機構の詳細は検討中とのことですが、等量のアリル金属の代わりにアリルアセテートを用いる反応であり、またアルコールの酸化数から直接アリル化でき、また BINAP をキラルリガンドとして高い不斉収率を出すことにも成功しています。ちなみに Krische の HP では彼らが開発した水素移動反応あるいは水素化反応を上手く利用した数々の反応が紹介されているので興味ある方はどうぞ。

080517-3.gif

以上、無駄に長い文章になりましたが水素移動反応と最近の水素移動型の反応の紹介でした。今回はケミストリーの浅い書き方になってしまいましたが、まだまだ水素移動型の反応には研究の余地を感じますし、最近こういった研究が増えてきているように思います(総説とかありますかね?)。もしここで紹介した以外にオススメの水素移動型の反応があればコメントください。

気ままに有機化学 2008年05月16日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 (反応)
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