このゴムをカッターで切ります。プチッ。はい、完全に切れましたね!
このゴムの切り口をくっつけて念じると…はい!つながりました!
ほら、こういう風に伸ばしてもつながってるでしょ!拍手!
そんなマジックを誰でもできちゃうゴムが Nature 誌に報告されました。
"Self-healing and thermoreversible rubber from supramolecular assembly"
Ludwik Leibler et al. Nature 2008, 451, 977.
百聞は一見にしかず。とりあえず下の動画をご覧ください。
タネ明かしをすると、これはゴムではなくゴム状の新規素材。
通常のゴムはポリイソプレンの高分子化合物ですが、この新素材は数種類の低分子化合物が水素結合で絡み合った超分子素材。切断しても、切り口を押し当てると再び水素結合することで、自己修復するそうです。
上の図を見ればわかりますが原料は脂肪酸と数種類のアミド。安全で安価な気がします。
すでに 200 グラム単位で生産可能で、シート状やひも状など様々な形に加工できるそうです。
著者はフランスの大学教授ですが、すでにフランスの化学会社が製品化に動いているそうな。
速いですねぇ。
自己修復機能をもった新素材開発。
学術的にも実用的にも1つのブレークスルーになるかもしれません。
ミクロな水素結合が多数集まってマクロな自己修復という機能に結びつくのは面白いですね。
古くから知られる水素結合でも使い方1つで新素材に早変わり!
これも一種の温故知新でしょうか。
ちなみに、論文には書いていないことですが・・・
私はこの論文を見てやっと人体切断マジックのタネがわかりました!
人の体内には元々脂肪酸も尿素もあるし、これで間違いないですね!笑