Nature/Science 誌の有機化学系論文 (2016年4月-6月)


4月に Nature/Science 誌の有機化学系論文 (2015年度下半期) という記事を書いたばかりですが、この4月-6月の間に Nature/Science 誌に有機化学系の論文がそれぞれ11/10報もありましたので、下に日本語タイトルとリンクをまとめました (漏れがあればご連絡ください)。今回もお馴染み Baran 研から3報 [1][2][3] も出ているのが印象的です。

Nature
(+)-ホルボールの19ステップ全合成
doi: 10.1038/nature17153
[関連] Phorbol Synthesis (Open Flask)
ラジカルのイミニウムイオン捕捉による第四級炭素の触媒的不斉構築
doi: 10.1038/nature17438
銅触媒を用いたアミノアルコールのエナンチオ選択的立体分岐型(stereodivergent)合成
doi: 10.1038/nature17191
ペンタデヒドロ・ディールス・アルダー反応
doi: 10.1038/nature17429
スケーラブルかつ持続可能な電気化学的アリルC–H酸化
doi: 10.1038/nature17431
[関連] C–H Oxidation Meets Electrochemistry (Open Flask)
活性化されていないC–H結合の部位選択的かつ立体選択的な官能基化
doi: 10.1038/nature17651
新規マクロライド系抗生物質探索のための構築基盤
doi: 10.1038/nature17967
鉄(III)触媒を用いたカルボニル–オレフィンメタセシス
doi: 10.1038/nature17432
化学燃料で動く自律型小分子モーター
doi: 10.1038/nature18013
19F−および18F−による協奏的求核芳香族置換
doi: 10.1038/nature17667
鉄の代わりに貴金属を含有する人工ヘムタンパク質による非生物触媒反応
doi: 10.1038/nature17968

Science
簡潔で再構成可能なシステムによる医薬品のオンデマンド連続フロー生産
DOI: 10.1126/science.aaf1337
鈴木‐宮浦反応において明確でなかったプレトランスメタルの中間体構造を解き明かす
DOI: 10.1126/science.aad6981
アルケン置換芳香族N-複素環へのGrignard試薬の触媒的不斉付加
DOI: 10.1126/science.aaf1983
速度論的に制御されたE-選択的触媒オレフィンメタセシス反応
DOI: 10.1126/science.aaf4622
サブミリ秒の有機合成:高速マイクロ混合によりフリース転位に勝つ
DOI: 10.1126/science.aaf1389
[関連] Micro Flow Reactorで瞬間的変換を達成する (化学者のつぶやき)
酸化還元活性エステルとアルキル亜鉛試薬を用いた一般的なアルキル−アルキルクロスカップリング反応
DOI: 10.1126/science.aaf6123
[関連] Making C–C Bonds with the Simplicity of Making Amide Bonds (Open Flask)
計画的ラジカルカスケードによるオフィオボリンセスタテルペンのエナンチオ選択的合成
DOI: 10.1126/science.aaf6742
可視光により進行する原子移動ラジカル重合
DOI: 10.1126/science.aaf3935
触媒的三重クロスカップリング反応の本来の機能性:潜在的求核剤としてのsp3 C-H結合
DOI: 10.1126/science.aaf6635
分子結び目(molecular knot)による触媒のアロステリックな活性化と制御
DOI: 10.1126/science.aaf3673

Nature/Science 誌に有機化学系論文が掲載されるのは、10年前には1年に1-2報くらいだったのに、最近は本当に多くなりましたね。Nature/Science 誌の購読権がある方は、定期的にチェックすると面白い論文が見つかるかもしれません。

気ままに有機化学 2016年07月10日 | Comment(0) | 論文 (その他)
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