Fredericamycin A の不斉全合成

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Fredericamycin A はA環のメトキシ基の位置が隣になるだけで鏡像体になるユニークな天然物です。つまり遠く離れたメトキシ基によって四級スピロ炭素がキラルになっているのです(メトキシ基以外のA,B,C環は対称)。面白い構造ですね。

Fredericamycin A の不斉合成は 1999 年に北泰行先生らによって初めて達成されました [論文1]。合成は容易に調製可能なケトン 1 から始まります。
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ケトン 1 を CBS 還元して不斉点を導入し、そのアルコールを足がかりにオレフィンをエポキシ化、光延でアルコールを反転させた後、北先生の開発した転移反応でスピロ骨格を構築します。官能基変換後、ジエノフィル 2 が得られます(詳細は論文参照)。

化合物 3 を塩基でアニオンを出してジエンとし、それとジエノフィル 2 の位置選択的な [4+2] 付加環化によって六環骨格 3 が得られます。酸化的に側鎖を伸長し、メチルエーテルを脱保護したのち、空気酸化することで Fredericamycin A の全合成が完了します。

不斉点から離れたメトキシ基の位置選択性を、23 の位置選択的付加環化に落としているところが上手い!位置選択的反応がエナンチオ選択的生成物を生むところが、素敵な合成だと思います。

[論文1] "Asymmetric Total Synthesis of Fredericamycin A" Y. Kita et al. Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 683-686.

気ままに有機化学 2007年01月22日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 (合成)
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