
昨年末に Nature/Science 誌に有機化学が続々登場 という記事で 「たった 3 ヶ月の間に 9 つもの有機化学系論文が!」 と書きましたが、今月はたった 1 ヶ月の間に 5 つもの有機化学系論文が!
ペプチド触媒の不斉臭素化によるビアリールアトロプ異性体の速度論的分割
"Dynamic Kinetic Resolution of Biaryl Atropisomers via Peptide-Catalyzed Asymmetric Bromination" Science 4 June 2010
亜ヨウ素酸(あるいは次亜ヨウ素酸)第四級アンモニウム塩を触媒とするエナンチオ選択的酸化的環状エーテル化反応
"Quaternary Ammonium (Hypo)iodite Catalysis for Enantioselective Oxidative Cycloetherification" Science 11 June 2010
パラジウム触媒下における塩素置換アリールのトリフルオロメチル置換アリールへの変換
"The Palladium-Catalyzed Trifluoromethylation of Aryl Chlorides" Science 25 June 2010
分子単結晶における配位子交換および選択的触媒水素化
"Ligand exchanges and selective catalytic hydrogenation in molecular single crystals" Nature 3 June 2010
アミドとペプチドの合成における極性転換反応性
"Umpolung reactivity in amide and peptide synthesis" Nature 24 June 2010
2 つ目の論文に関しては JST に 日本語の詳細な解説 がありますし、『chasing methodologies that are not there』 さんにも 解説記事 があります。また、1 つ目と 2 つ目の論文に関しては 『ユーキの有機化学Hot Topics』 さんの Millerのscience(動的速度論的光学分割) および 今度はscience(超原子価ヨウ素を用いた分子内酸化的エーテル化反応) に関連記事があります。それから、3 つ目の論文に関しては私のもう 1 つのブログ 『気ままに創薬化学』 の 芳香族フルオロ/トリフルオロメチル化反応 で取り上げさせていただきました。
ここ 2〜3 年で Nature/Science に掲載される有機化学の論文が増えてきました。新しいコンセプトと優れた結果があることが前提ですが、有機化学者も Nature/Science へ積極的に投稿していく流れなのかもしれませんね。
NatureやScienceなんて、真に完成してその人の代名詞となった仕事でない限りは提出するのも困難な気がしますわ。
過去の事例に学ぶ、論文投稿の裏技3つ (気ままに有機化学)
http://chemistry4410.seesaa.net/article/125993267.html
著者のScience/Natureに投稿するかJACS/Angewandteに投稿するかの線引きはどのあたりにあるんでしょうね?