以前、各種溶媒の各種重溶媒中の NMR データ という記事で 1997 年の JOC の論文 [論文1] を紹介しました。よく使う溶媒の NMR データがまとまって載っていますので、「これ DMF のピークだっけ?」 とか 「重ベンゼン中で酢エチのピークってどのあたり?」 というときに便利な一枚です。
さて、つい最近 2010 年の Organometallics の論文 [論文2] に残留溶媒の NMR データ集の新バージョンが出ていました。今回の報告では、JOC のものに比べて重溶媒の種類も残留溶媒 (試薬) の種類も大幅に増えています (Organometallics らしく、有機金属の研究室で使うような重溶媒・残留試薬も含まれる形になっています)。NMR で残留溶媒・試薬を確認するときなどに使えますので、印刷して手元に置いておくと便利ですね。
追記 2010/04/30
Supporting information の "1H NMR data by chemical shift in ppm" も有用です。ピークの位置から溶媒や試薬を推測するときにはこちらが便利かと思います。コメント欄で情報くださった鉄さん、ありがとうございます!
[論文1] "NMR Chemical Shifts of Common Laboratory Solvents as Trace Impurities" J. Org. Chem. 1997, 62, 7512.
[論文2] "NMR Chemical Shifts of Trace Impurities: Common Laboratory Solvents, Organics, and Gases in Deuterated Solvents Relevant to the Organometallic Chemist" Organometallics ASAP.
少々マニアックな溶媒もあるので結構かかってそうですね。3つの研究室の共著のようですので各研究室においてある溶媒を分担したのかもしれませんねー。
> 鉄 さん
コメントありがとうございます!確かに NMR 見て 「この ○○ ppm のピークは何だろう?」 というときにはこちらの方が便利かもしれませんね。本文中に追記という形で紹介させていただきました。情報ありがとうございます!