反応機構クイズ

反応機構の問題については Robert B. Grossman の The Art of Writing Reasonable Organic Reaction Mechanisms や 福山透研究室の反応機構の問題を基に編纂された 演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで など名著揃いですが、今回は一味違った反応機構クイズを紹介します。

[問題] 以下の反応のメカニズムを書きなさい。

090703_1.bmp

30 秒考えてから続きをどうぞ。











簡単だと思った方への追記ですが、この反応機構は下に示す付加-脱離 (Addition-Elimination) 型の求核置換反応 (Nucleophilic Substitution) ではありませんので。

090703_2.bmp

もう 30 秒考えてから続きをどうぞ。











さらに追記ですが、下に示す脱離-付加型のベンザイン経路でもありませんので。

090703_3.bmp

さて、上記を踏まえた上で反応機構を考えて見てください。解答は約 1 週間後に!

09.07.12. 追記
[解答] 反応機構クイズの解答

気ままに有機化学 2009年07月03日 | Comment(6) | TrackBack(0) | クイズ
この記事へのコメント
上の問題のヒントはこれかね↓。
http://dx.doi.org/10.1002/anie.200704704


ところで、ACIEのcorrespondenceって結構面白い記事が多いね。
例えば、このつっこみ、よっちゃんのいつぞやの記事に似てるね。
http://dx.doi.org/10.1002/anie.200902237

そういわれてみると、怪しいのとかたくさんあるわ。これとか↓
http://dx.doi.org/10.1021/jo900595c
(比較対象)
http://dx.doi.org/10.1021/ja021304j

アミンも同じ、炭カリも同じ、溶媒も同じ。鉄か銅か以外は全部同じ。
Posted by 成増 すし太郎 at 2009年07月03日 15:03
求核付加−開環−再閉環でしょうか。

ピリミジン環2位へのKNH2のattack

N−からの押しでC−N切断、脱Brでニトリル形成

KNH2由来アミノ基からニトリル炭素に2回当たって完成

…ですか?

↓に15N標識した類似化合物の反応が出ているみたいです。

Kroon et al. Recl. Trav. Chim., Pays-Bas, 1973, 92, 1020.
Posted by N at 2009年07月04日 22:52
> 成増 すし太郎 さん
問題のヒントはその論文ではありませんが、そういったことにも気をつけないといけないですね。(レフェリーも。笑)
鉄触媒のツッコミは面白いですね。最近、鉄触媒を使った反応が増えていますが、これからは安直には受け入れれないですね。比較していただいた論文は確かに怪しい気がします。にやり。

> N さん
大正解です!
もしよければ、どうやってその答えに行き着いたかと、その答えを知ってどう思われたか教えていただけると嬉しいです。
Posted by 気ままに有機化学(管理人) at 2009年07月08日 12:48
私はこの反応を人名反応の勉強会で見た記憶が…。テキストはJie Jack Liの書いているものを使っていました。
ちなみにその時私はAddition-Eliminationを書いてしまい、"No, No! Oh, Boy"と言われてしまいますた。
Posted by soesoe22 at 2009年07月08日 22:47
答えに行き着いた経緯

「問題にされるぐらいなら生成物のNH2はピリミジン由来だろう」と予想する

矢印を書く筆がすぐに止まる(笑)

文献に頼りました。
「芳香族ヘテロ環化合物の化学」という本に類似の合成と機構が書いてあったので、参考にしました。

結果的に正解でしたが、マイゼンハイマー錯体やベンザイン経由でない理由を説明できるわけではありません。解答編で教えていただけると嬉しいです!

答えを知った感想

単純に、いったん環が開くのが面白いと思いました。最初にこの反応を仕掛けた人は、狙ってやったんでしょうかね。。
開環を伴う芳香族複素環の置換基変換はオキサゾールで見たことがあるぐらいだったので、他の芳香族複素環でもこういう官能基変換があるのか勉強したいです。

ところで芳香族ヘテロ環やふつうの芳香環の環構築、官能基変換について、いい勉強法はないものですかね。今回問題にされたような「知らなきゃ書けない」寄りの反応を含めて、整然とまとめた本があまりない気がして。
天然物にはない特殊な複素環合成などは、大学であまりやらない割に企業に入るとわりと必要とされる気がするので、こう思ってしまうのでした。

今後もよっちゃんさんのクイズシリーズを楽しみにしています!
Posted by N at 2009年07月09日 00:06
> soesoe22 さん
この反応、人名反応の本にも出てるんですねー。知りませんでした。
私も 「そんなことも知らんのか、Oh, Boy」 と言われそうです。笑
ちなみに Jie Jack Li の Name Reactions、この 8 月に新しい版が出るみたいですね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/3642010520/kawamoto4410-22/ref=nosim/

> N さん
「問題にされるぐらいなら生成物のNH2はピリミジン由来だろう」 との予想といい、「よっちゃん」 という初期の頃に使っていた名前をご存知のあたり、私の知り合いの方か昔からの読者様でしょうか??

マイゼンハイマー錯体やベンザイン経由でない理由は 15N 標識実験を見られたようなので、それで説明できるのではないでしょうか。ちなみにこの反応は狙ってやったわけではなく、最初は SN(AE) あるいは SN(EA) で説明できると考えられていました。ところが、リチウムピペリジンを反応させたところ、開環体が取れたのです。そこで、求核置換反応も開環を経ているのではないかと考え、標識実験でそれを明らかにした、というのが歴史のようです。

あと私は製薬企業の研究員ですが、医薬品のほとんどはヘテロ環を含むため、ヘテロ環化学はやはり重要です。残念ながら画期的な勉強法というようなものは知りませんが、個人的にはネットでは Phil S. Baran の Heterocyclic Chemistry の講義資料、書籍では新編ヘテロ環化合物をおすすめします。

Scripps Heterocyclic Chemistry
http://www.scripps.edu/chem/baran/heterocycles/
新編ヘテロ環化合物 基礎編
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061543288/kawamoto4410-22/ref=nosim/
新編ヘテロ環化合物 応用編
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406154327X/kawamoto4410-22/ref=nosim/
Posted by 気ままに有機化学(管理人) at 2009年07月11日 09:11
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