限りなく有機化学的な数学の問題

ある対称ジカルボン酸から非対称ジアミドを作ろうと思ったときに、ふと思いついた問題です。エバポレーターを回してる間なんかに考えてみてください。

090424.bmp

 化合物 1 に充分量の塩基存在下でモルホリンを加えることを考える。化合物 1 はモルホリンと反応して化合物 2 となり、2 がさらにモルホリンと反応すると 3 になる。
 青で示した 3 つの酸クロリドの反応性が全て等しいとし、均一系の反応で副反応はなく、反応時間は充分にあるものとする。(また、拡散速度は反応速度に比べて充分に大きいものとする。)
 このとき化合物 2 の収率を最大にするためにはモルホリンを何当量加えればよいか?またそのときの理論上の収率はいくらか?

うちの研究所の数人に聞いてみましたが、きちんと数学で答えを出せた人は 1 人でした。面白かったのはエクセルの表計算でシミュレーションして答えを出した人もいたこと。答えは合ってたのですが、その解法は想定外でした。できるだけ数学で解いて下さいね。

09.06.19. 追記
[解答] 限りなく有機化学的な数学の問題の解答 (気ままに有機化学)


気ままに有機化学 2009年04月23日 | Comment(11) | TrackBack(0) | クイズ
この記事へのコメント
1:2:3の比がモルホリン0当量から2当量まで点対称のグラフを書いて、そのグラフの微分が単調増加と単調減少のどちらかしかないから、中央の1当量が最大だと見た。
Posted by at 2009年04月24日 00:53
反応が平衡系でないのならば、1当量の時か、それに近い小さい値の時が統計的にもっとも確からしいのかと。
ただ何となく2/3当量付近で最大になりそうな気がする。
Posted by at 2009年04月25日 21:56
一億万当量です。
真ん中がビシクロ[2.2.2]オクタンなのはなんで?
Posted by ぱかたろう at 2009年05月01日 13:13
>名無し1 さん
コメントありがとうございます。
揚げ足取りで申し訳ありませんが、2点ほど気になったので。
(1) 点対称 → どの点に関して?
(2) 微分が単調増加と単調減少 → 微分は正か負かでは?
あとは対称になるならなぜでしょうか、またそのときの収率はいくらでしょうか?

>名無し2 さん
コメントありがとうございます。
「統計的にもっともらしい」 というのはどういう統計でしょうか?
できればもう少し数学的にお願いします。

>ぱかたろう さん
大不正解です。笑
真ん中は化合物 1 と化合物 2 の酸クロリドの反応性ができるだけ同じになるような分子デザインをしてみました。私が思いつく一番シンプルな形です。
Posted by 気ままに有機化学(管理人) at 2009年05月01日 22:11
速度論が正攻法になるんじゃないかと予測しつつも、
己の計算力のなさに唖然・・・。
Posted by mammal at 2009年05月02日 14:01
モルホリン:約0.90当量
理論上の収率:1=約37% 2=約37% 3=約26%

ですか?
Posted by うね at 2009年05月03日 02:09
1の左側酸クロをA右側をBとする。
全部でホモルリンをx当量入れるとすると、酸クロAもBもx/2ずつ反応する。
このとき、すべての酸クロが同じ確率で反応するなら、
3は(x/2)^2 = (x^2)/4
2は2*(x/2)(1-x/2) = -0.5(x-1)^2+0.5
1は(1-x/2)^2 = {(2-x)^2}/4
の割合だけ出来る(残る)ので、
2はX = 1の時、に最大0.5*100 = 50%収率
3は0.25*100 = 25%収率
1は0.25*100 = 25%回収

ねえねえ、2段階目が1段階目より3倍速だったらどうなるの?
Posted by すかとろう at 2009年05月03日 14:06
ごめんなさい変なこと書いています。
やはり考えてみたのですが、一億万当量にどうしてもいきつきません。
後学のために、解法を教えてください。
Posted by 2 at 2009年05月07日 21:35
>mammal さん
速度論、私も少し考えましたが、当量をパラメータに入れるのが難しいような・・・。
(基本的に時間がパラメータになっちゃう気がするのですが。)

>うね さん
おそらく化合物 1 に酸クロリドが1ヵ所と勘違いされて計算されてませんか??
実際には化合物 1 には2ヵ所、化合物 2 に1ヵ所です。

>すかとろう さん
大正解!・・・だと思います。(オリジナル問題なので)
私も同じ解ですし、エクセルのシミュレーションでも同じ答えになったので、
きっと合っていると思います。
高校の数学(化学?)の問題にできそうですよね。

ちなみに反応性に比重をかける問題については私にはわかりません。
もし解けたら是非教えて下さいね!
ただ、数学的には興味深い問題ですが、化学的にはおそらく現実的ではないですよね。
2段階目が1段階目より3倍速になる基質の構造が私には思い浮かばないので^^;。

>2 さん
一億万当量は大 「不」 正解です^^;。
解法はすかとろうさんが書いてくださった通りです。
(別解もあると思いますが、上の解が一番きれいな解答だと思います)
Posted by 気ままに有機化学(管理人) at 2009年05月07日 23:50
一億万当量に一票!
こういうビシクロ環ってモルホリン入れなかったらアシルカチオン経由で[2,2,2]から[2,2,3]のケトンへ環拡大しないのかなぁ。多分行きにくいけどノルボネン骨格での転位はよくある事からどうかなと。

ところでいちおくまん、って数字、小学校のとき以来使ってない。懐かしい。
Posted by しびのはたろう at 2009年05月13日 01:26
1億万分の1等量→回収を繰り替えす。
Posted by とおりすがり at 2009年05月15日 21:44
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