[参考] A Solvent Dries Up (C&EN)
元々アセトニトリルはアクリロニトリル製造の副生成物として得られます(2〜4%程度)。ちなみに製法は金属触媒存在下でプロピレンにアンモニアと酸素を反応させるそうです(アクリロニトリル wikipedia)。また、アクリロニトリルはアクリル繊維や樹脂(プラスチック)などに使われます。
そのアセトニトリルが何故供給不足になってしまったのでしょうか?
それには金融危機やハリケーンやオリンピックが関係しているようです。
金融危機で世界的な製品需要の低下が起こり、その結果アクリロニトリルを減産することになり、副生成物であるアセトニトリルの生産量も低下しているのです。特に最近トヨタやビッグスリーの不況がニュースを飾っていますが、自動車のバンパーに使われるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)もアクリロニトリルを含むため、自動車業界の不況 → ABS樹脂の減産 → アクリロニトリルの減産 → アセトニトリルの減産という構図で化学者にも影響しているようです。実際、日本でもつい最近三井化学や三菱化学が自動車や家電用樹脂の生産設備を停止させるという異例の事態を発表しています(日経ネット)。
また、ハリケーンに備えてアメリカの大きなアセトニトリル工場がシャットダウンしていたことや、オリンピックに備えて中国の工場が一時停止していたことも影響しているそうです。ちなみにオリンピックの方は大会の間の大気状態を良くするために生産停止していたんだとか。
そんなわけで今、アセトニトリルが不足しています。私の会社にも昨日、某試薬業者さんから3Lガロンビンの1種は在庫不足のため暫く注文できないという連絡がきました。ちなみに Sigma-Aldrich によるとこのアセニト不足は来年半ばまで続くという予想です。
アセトニトリルは反応溶媒としてのみならず HPLC や LC-MS の溶媒としても汎用されます。このアセニト不足は化学者のみならず分析屋さんにも大きく影響しそうです。また、アセトニトリルは医薬品の製造(プロセス化学)でもよく使われます。私も製薬企業に勤める身ですので、医薬品の供給が滞ることがないことを切に願います。
ソルピュアの出番ですな。
無知な掲載だと思います。
私自身は記事でもソルピュアには触れていないように溶媒回収には全くの素人ですが、回収前の混合系、回収後の使用目的によってはソルピュアも使えないこともないのではないかと思います(おそらくどんな混合系からでも純度>99%で回収というのは不可能でしょうが)。
例えば下のリンクでは 『汎用自動精製装置「ソルピュア」を使うと約85%アセトニトリル水溶液を精製できます。この85%アセトニトリルで大抵の分析は可能となります。』 と記載されています。精製前の混合系がどんなものなのかは触れられていませんので信頼性はどの程度かわかりませんが。
http://www.icc-ts.com/MeCN.html