(1) フォトクロミック化合物
青山学院大学の阿部二朗準教授らによる Organic Letter 誌に報告されたフォトクロミック化合物の動画です [論文1]。フォトクロミックというのは適当な波長の電磁波を照射すると物質の色が可逆的に変化する性質で、今回報告されたのは紫外線を照射すると素早く緑色に変化し数ミリ秒で無色に戻る化合物です。彼らは hexaarylbiimidazole 誘導体が紫外線を受けて可逆的にラジカルを生成することを利用してこのような化合物を考案したようです。
(2) カーボンナノチューブ製のスピーカー
Kaili Jiang と Shoushan Fan らによる Nano Letter 誌に報告されたカーボンナノチューブ製のスピーカーの動画です [論文2]。詳しくは論文を読んでいただきたいのですが、フレキシブルで伸縮可能で透明で薄いのが特徴のようです。下の動画を見ればただの旗に見えるのでビックリすること間違いなしだと思います。iPod の次世代機種は iPod NanoTube か!?
(3) 自己修復するゴム
以前 紹介した Ludwik Leibler らによる自己修復能を持ったゴム状の新規素材の動画 [論文3]。脂肪酸と数種のアミドからできた低分子が水素結合で繋がった超分子で、切断しても再び水素結合を介して断面が繋がるようです。ちなみに私はこの論文を見てやっと人体切断マジックのタネがわかりました!人体には元々脂肪酸も尿素もあるし、これで間違いないですね!笑
論文紹介をパワーポイントなどパソコンでやっている研究室の方は、こうした動画を発表スライドに組み込むと聴衆に 「おっ!」 と思わせれるかもしれませんね!
[論文1] "Photochromism of a Radical Diffusion-Inhibited Hexaarylbiimidazole Derivative with Intense Coloration and Fast Decoloration Performance" Jiro Abe et al. Org. Lett. 2008, 10, 3105.
[論文2] "Flexible, Stretchable, Transparent Carbon Nanotube Thin Film Loudspeakers" Kaili Jiang and Shoushan Fan et al. Nano Lett. Article ASAP
[論文3] "Self-healing and thermoreversible rubber from supramolecular assembly" Ludwik Leibler et al. Nature, 2008, 451, 977.