TPPOを塩化マグネシウムとの錯体化で除去する

TPPO (トリフェニルホスフィンオキシド) はときに分離が困難な副生成物になります。解決策としてポリマー結合型や水溶性の TPP 誘導体が開発されていますが、大量スケールで使うにはコストや入手性の観点から難しいようです。

最近の Org. Process Res. Dev. で、カラムを使わず、TPPO を塩化マグネシウムとの錯体化で除くという方法が報告されました。[論文]

光延反応をトルエン中で行い、反応終了後に塩化マグネシウム (2 equiv) を入れて 50〜60 ℃で 1〜2 時間撹拌すると、TPPO が塩化マグネシウムとの錯体になって沈殿し、ろ過するだけで 95 %以上の TPPO が除けたとのこと。錯体の溶解度が低いのがトルエンで、溶媒をジクロロメタンや THF にすると除去率が下がるようです。

注意点としては、塩化マグネシウムの表面をクリーンに保つことが錯体形成に重要とのこと。マグネットスターラーをオーバーヘッドスターラーにすると TPPO の除去率が下がったそうで、オーバーヘッドスターラーで撹拌する場合には塩化マグネシウムを要時粉砕するか、市販の粉 (325 mesh) を用いて二度手順を繰り返すことで、再現性よく TPPO を十分に除去できたそうです。

[論文] "Development of a Scalable Synthesis of Oxadiazole Based S1P1 Receptor Agonists" Org. Process Res. Dev. 2013, 17, 666.
[関連] 有機合成実験の後処理に関する Tips まとめ (気ままに有機化学)


気ままに有機化学 2013年06月25日 | Comment(0) | 論文 (その他)