科学の甲子園を見に行ってきました

選抜高等学校野球大会が行われる阪神甲子園球場からバスで 15 分ほどの場所にある兵庫県立総合体育館。ここで先週末、もうひとつの甲子園 「科学の甲子園」 が行われました。科学の甲子園は、日本全国の高校生が学校対抗で理科・数学・情報の知識・技能を競うものです (各都道府県予選を勝ち抜いた代表校 47 校による全国大会で、6〜8 人のチーム戦)。今年は第 2 回に当たります。


左:会場となった兵庫県立総合体育館。右:会場内の様子。

競技プログラムは以下の 2 日間ですが、競技が終わった後には交流プログラムが、競技の翌日にはエクスカーションが用意されているようです。今大会の出場校一覧昨年の問題と解説昨年の様子の動画 はリンク先の公式ホームページに掲載されています。

 3 月 23 日 (土) 開会式、筆記競技、実技競技@、実技競技A
 3 月 24 日 (日) 実技競技B、実技競技C、特別シンポジウム、表彰式

2 日間におよぶ競技の結果、岡崎高等学校 (愛知県) が優勝、灘高等学校 (兵庫県) が第 2 位、筑波大学附属駒場高等学校 (東京都) が第 3 位となりました。おめでとうございます!

さて、私は 3 月 24 日 (日) に科学の甲子園を一般観覧者として見に行ってきました。残念ながらブログのネタになるようなことはあまりなかったのですが、「メディアには書かれていない大会の様子」 や 「一般観覧者の私が感じた運営の改善の余地」 などを、見に行きたかった人や見に行こうと考えている人の参考のために書いてみます。

(1) ディスカッションやフィードバックを充実させて欲しい
 例えば、実技競技Bでは、「加速度センサがついたデバイスを使って文字を入力する方法を考えてください。また、そのためのプログラムを作成してください。」という課題でした。プログラムを作成した後には実際に課題文を自分で入力してその速さを競い、その入力文字数が上位の高校はリアルタイムで順位が表示され、会場は大いに盛り上がっていました。リアルタイム表示でエラーがあったりしたのですが、個人的に気になったのはその後です。明らかに入力速度が速い高校がいくつかあったのですが、どういった工夫があったのか、どういった更なる改善の余地があるのか、競技後にディスカッションやフィードバックがないのです。順位を競って終わりよりも、競技者同士でのディスカッションや専門家によるフィードバックがあった方が、出場者にも観覧者にも面白いと思います。

(2) 特別シンポジウムの内容を事前に告知して欲しい
 競技が終わった後に特別シンポジウムが予定されていたのですが、その内容がホームページにも書かれておらず、当日会場にも書かれておらず、運営スタッフの方 5 名に聞いてもわからなかったのです。一般観覧者の私は内容によっては帰宅しようと考えていたため、非常に残念でした。
 ちなみに今回の内容はパネルディスカッションで、ゲストとして京都大学 iPS 細胞研究所の中川誠人先生、京都大学人類進化論研究室の山極寿一先生、国立情報学研究所の新井紀子先生、埼玉大学教育学部の小倉康先生の 4 名が招かれていました。内容は、「なぜ科学者になったのか?」「一流の科学者であるための秘訣は?」「科学者を育てるには?」「出場高校生からの Q&A」「若者へのメッセージ」 など。「一流の科学者であるための秘訣は?」 に対しては 「常識に挑戦するような問いを立てること」「たくさんの人にとって魅力的な問いを立てること」「妥協のないハードワーク」 との答えをされていました。なお、特別シンポジウムの様子は NHK 教育テレビの 「TV シンポジウム」 で放送予定とのことです。

(3) その他
 観覧者は 100〜200 人くらいで、その多くは出場者の関係者だと思われました。観覧席から見えるディスプレイが用意されており、またイヤホンで実況中継が聞けるように配慮されていました。競技中や特別シンポジウム中の撮影は禁止されていました。
 周辺に食事を買う場所はなく、体育館の食堂も営業しておらず、その代わりに 30 食限定で 650 円の弁当 (一種) の販売をしていました (このあたりもホームページで事前アナウンスして欲しい)。もし来年以降も同じ場所で同じ運営体制の場合、一般観観覧者は昼食を持って行った方が無難かも。
 競技の後にはブース展示会があり、協賛企業や数学オリンピック財団、情報オリンピック日本委員会、物理オリンピック日本委員会、化学グランプリ・オリンピック日本委員会、国際生物学オリンピック日本委員会、国際地学オリンピック日本委員会、地理オリンピック日本委員会 (ん?科学の甲子園で地理?) のブースがありました。オリンピック系のブースでは案内チラシや過去問などが配られ、さらに化学ブースでは気前よく 完全攻略 化学オリンピック高校で教わりたかった化学きっと好きになる 化学のクイズ37 の 3 冊が無料で配布されていました。

以上、あまり面白いことは書けませんでしたが、科学の甲子園を見に行きたかった人や見に行こうと考えている人の参考になれば幸いです。

気ままに有機化学 2013年03月26日 | Comment(0) | コーヒーブレイク

リサとガスパールとグリニャール


先日友人に 『リサとガスパール』 のお菓子 (上の写真) をもらいました。『リサとガスパール』、知ってはいたのですが、きちんと見たのは初めてでした。手にとって見て最初に思ったのが、「グリニャールと一緒だ!」 ということ。つまり、"Gaspard" で "ガスパール"、"Grignard" で "グリニャール"。調べてみたところ、やっぱり両方ともフランス生まれでした。

私の家にあった フランス語の入門書 によると、フランス語では 語末の子音字は基本的に発音しない (ただし、語末が c、f、l、r の場合には発音することもある)。例えば、"escargot" で "エスカルゴ"。だから、"Gaspard" で "ガスパール" なのですね。また、フランス語では gn は 「ニュ」 の発音 です。例えば、"champagne" で "シャンパーニュ" (フランス語では末尾の e は発音しない)。これで "Grignard" で "グリニャール" と読むことが理解できますね。

有機化学の講義では 「"Grignard" は "グリグナード" ではなく "グリニャール" と読む」 と教えることはあっても、その背景について語ることは少ないと思います。そこで、「なぜ "Grignard" で "グリニャール" と読むのだろうね?」 と謎かけした上で、『リサとガスパール』 の "Gaspard" と似ている点、両者がフランス生まれである点、フランス語の発音の特徴について語って謎解きすれば、"グリニャール" が学生の頭に残りやすくなるのではないでしょうか。講義を受けた学生が 『リサとガスパール』 を 『リサとグリニャール』 と間違えるようになれば、講義は大成功です。

気ままに有機化学 2013年03月22日 | Comment(0) | 用語・英語

ChemPort ファビコンの復旧と変更のお知らせ

ChemPort-有機化学者のためのポータルサイト のファビコン (記事へのリンクの左に表示している小さなアイコン) が下図左のようにすべてテキストマークになってしまっていましたが、ようやく下図右のように復旧しました。

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復旧にあたってファビコンを表示する仕組み自体を変更しましたので、それに伴って たゆたえども沈まず さんのファビコンが下図のように地球の形に変更になりました。いつも ChemPort をご覧頂いている方々に混乱を招くかもしれないと思い、ご連絡いたします。

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(ファビコンが設定されていないサイトは、新しい仕組みではすべて地球マークになり、以前の仕組みではすべてテキストマークになるためです)

気ままに有機化学 2013年03月21日 | Comment(0) | ニュース