◆ 俵万智と希土類元素
少し前の 有機化学美術館・分館 さんによると 「サマリウム-コバルト (Sm-Co) 磁石を開発したのは、歌人の俵万智さんの父上である好夫氏だそうで、有名な歌集 サラダ記念日 には、これを詠んだ短歌が収められているということです」とのこと。どんな短歌なのか気になったので調べてみました (上の写真)。私以外にも気になっている方もいらっしゃると思いますので、引用紹介しておきます。
東北の博物館に刻まれし父の名前を見届けに行く
ひところは「世界で一番強かった」父の磁石がうずくまる棚
月曜の朝のネクタイ選びおる磁性材料研究所長
稀土類元素 (レア・アース) とともに息して来し父はモジリアーニの女を愛す
この最後の短歌が、「希土類という言葉を広め」、学会の名誉学会員の基準 「特に功績のあった者」 に該当するということで、俵万智さんは 1998 年に希土類学会名誉会員になられたそうです (参考:俵万智のチョコレートBOX)。近年のニュースや新聞などで希土類 (レア・アース) という言葉が普通に使われているのには、もしかしたら俵万智さんの貢献があるのかもしれません。
◆ Reaxys PhD Prize 2013
応募資格は、現在有機化学または無機化学の博士課程または 2012 年 1 月 1 日以降 PhD 取得した若手研究者の方々。応募締切は 2013 年 2 月 8 日。
◆ ワイリー・サイエンスカフェより
・ 野依先生をはじめ世界的化学者による記念エッセイをAngew. Chem. Int. Ed.で公開
・ 来年3月にドイツに行ける方はぜひ! ベルリンで、世界的な化学者を講演者に招きAngewandteシンポジウムを開催
・ 表題にnovel, simple, efficientという語を含む化学論文はリジェクトされやすい!? EurJOCエディターが指摘
・ ノーベル賞受賞者16人が寄稿、まさにスペシャルなAngewandte Chemie創刊125周年特集号(無料公開)
・ 理研・野依理事長が研究・出版倫理と不正行為についてAdv. Synth. Catal.誌に寄稿
・ C&ENが取り上げた「サイン収集家」とは、あの日本人有機化学者
◆ 本日の名言
大村の学術交流とその人脈は、国際的に活躍している有機化学分野の権威者やノーベル賞受賞者がキラ星のように並んでいる。いい仕事をすればその専門分野の第一人者との交流が広がり、情報交換と討論の場が広がり、最新の研究方法や研究成果を知ることができる。このような人脈と交流によって世界の最先端の研究動向を知ることができ、その水準をもとに自分たちの研究を組み立てるので常に最先端を走ることができる。これは研究現場で優れた成果を出している研究者の特権であり、互いに触発できる相乗効果は計り知れない。
大村は、研究室のスタッフにことあるごとに 「レベルの高い人とお付き合いすることが大事である。レベルの高い人たちと付き合っているといつしか自分もそのレベルになってくる。そのためには自分を磨いて、いい仕事をしなければならない」 と言い聞かせる。それは自身の経験から自然とつかんだ教訓であった。 [pp.192-193]
[出典] 大村智 - 2億人を病魔から守った化学者