今回は私が遭遇した ChemDraw を貼った文書の PDF 化で絵が汚くなるトラブルと解決策についてご紹介します。おそらく ChemDraw、Word (PowerPoint)、Adobe PDF のバージョンの組み合わせによると思いますが、
ChemPort 掲載の研究室のセミナー資料を見ていても同様のトラブルはちょくちょく起こっているようです。
さて、絵が汚くなるトラブルが起きたのは ChemDraw を Word (PowerPoint) に貼りつけて、その文書を Adobe PDF で PDF に変換したときです。例えば、過去記事の
製薬企業が見つけたホスホニウム系縮合剤の新反応 の最後の図の ChemDraw を Word に貼ってそれを
「ファイル」→「Adobe PDFとして保存」→「保存」 (細かい操作は Word のバージョンによります) で PDF に変換してみました。なんということでしょう、
文字列が 「超オシャレ」 になってしまいました。よくよく見ると構造式の元素記号も微妙にズレちゃっています。
まぁこれはこれで芸術的と言えなくもないですが、やっぱり普通に PDF にしたいですよね。そこで PDF への変換方法を改めて、
「ファイル」→「印刷」→「プリンター」を「Adobe PDF」に変更して「印刷」 (細かい操作は Word のバージョンによります) で PDF 化してみました。すると、なんということでしょう、自分の目が悪くなったのではないかと思うくらい
文字がぼやけてしまいました。実はこう見えて印刷すると意外と綺麗にプリントされたりするのですが、PDF で相手に渡す場合などはやはり見栄えが悪いと言わざるをえません。
実験と同じであらゆる手段を講じるまで諦めてはいけません。通常はあまり使わない PDF 化の方法だと思いますが、
「ファイル」→「名前を付けて保存」→「ファイルの種類」を「PDF」に変更して「保存」 (細かい操作は Word のバージョンによります) で PDF 化したところ、ようやく
美しい PDF に変換することができました。
冒頭で述べたようにおそらく ChemDraw、Word (PowerPoint)、Adobe PDF のバージョンによるとは思いますが、上記のように PDF 化の方法を変更することで解決できる場合もあります。この記事が、ChemDraw を貼った文書の PDF 化で困っている方の役に立てば幸いです。また、もし他の対処法などご存知でしたらコメント欄などからご連絡ください。
追記コメント欄で らじかる さんに別法を教えていただきました。
ChemDraw の「File」→「Preferences」 で「Use Antialiasing When Generating Windows Metafiles」 のチェックボックスを外す → ChemDraw から Word に貼り付ける と、絵の線が Word 上ではややギザギザになりますが、Acrobat で変換したときに絵がぼやける現象が解消されます。私が試したところ、確かに教えていただいたとおりになりました。この方法も有効です!
[関連]
ChemDraw を使いこなすための参考資料 [日本語] (気ままに有機化学)