◆ Asian Journal of Organic Chemistry を創刊 (ワイリー・サイエンスカフェ)
EurJOC の姉妹誌として AsianJOC が創刊されます。有機化学系の方は購読&投稿の検討を。
◆ エッセイを書いてアメリカへ行こう! (化学情報協会)
対象は SciFinder をはじめとする情報検索ツール、情報検索、情報解析に興味・知識がある大学院在籍中 (2012 年度) の学生の方。日々の研究に SciFinder をどのように活用しているかをエッセイにまとめて応募。優秀なエッセイ応募者を米国 CAS 本部にご招待。
◆ 30年後の化学の夢ロードマップ (日本化学会)
有機化学分野だけでなくすべての分野のロードマップを見るのがおすすめ。
◆ A Laboratory of Organic Chemistry underM9.0 (化学2011年5月号)
◆ 震災を乗り越え、安心・安全なラボラトリーの探求へ。 (pdf。東北大学)
3.11 から 1 年。磯部寛之先生の記事を読んで今一度ラボの防災対策の見直しを。
◆ 今月は Nature/Science の有機化学系論文が 3 つ
水酸基を足がかりにした一級 C-H 官能基化反応 と 有機酸触媒による不斉スピロアセタール化反応 と 系中でジアゾメタンを発生させる鉄触媒シクロプロパン化反応。
◆ 本日の名言
だからねえ、コペル君、あたりまえのことというのが曲者なんだよ。わかり切ったことのように考え、それで通っていることを、どこまでも追っかけて考えてゆくと、もうわかり切ったことだなんて、言っていられないようなことにぶつかるんだね。
吉野源三郎 『君たちはどう生きるか (岩波文庫)』 [pp.81-82]
あなたが使っている Pd2(dba)3 の純度は?

Pd2(dba)3 は有機合成で汎用される 0 価パラジウムのひとつです。市販もされていますので、使ったことがある方も多いのではないでしょうか。しかし最近、市販の Pd2(dba)3 の純度は悪い場合には 64 %程度しかなく、分解物として Pd nanoparticle を含むことが報告されました [論文]。
論文では、次のような実験が行われています。
・ NMR を使って Pd2(dba)3 の純度を測定する方法を確立。
・ 市販の Pd2(dba)3 の純度を測定した結果 92-64 %。
・ 99 %の純度の Pd2(dba)3 を調製する方法を確立 (論文に記載)。
・ 固体状態では 1 ヶ月程度は安定、溶液状態では 1 時間でもそこそこ分解する。
・ Pd2(dba)3 が分解して生じる不溶性のパラジウムブラックを単離し、10-200 nm の純粋な Pd の nanoparticle であることを確認。
このことから、次のような注意が促されています。
・ 市販の Pd2(dba)3 を購入してそのまま使うと、mol% や TON や TOF が不正確になる。
・ Pd2(dba)3 は可溶性の Pd(0) 源としてだけでなく、10-200 nm の Pd nanoparticle 源としても機能しうるため、均一系の反応だと思っていても実は Pd nanoparticle による不均一系の反応の可能性がある。
・ 純度不明の Pd2(dba)3 を使うと再現性が取れない実験につながる。例えば、真の活性種が Pd nanoparticle である場合には純粋な Pd2(dba)3 では反応は触媒されない、など。
・ 金属複合体を触媒前駆体として使う際には、その純度や性質にもっと注意を払うべき。
Pd2(dba)3 を用いた重要な反応を行う際にはその純度にも注意が必要ですね。なお、これと関係するかはわかりませんが、Organic Syntheses の Pd2(dba)3 とキラルホスフィン配位子を用いた不斉辻-トロスト反応では Strem 以外のサプライアーから購入した Pd2(dba)3 ではエナンチオ選択性が下がるとの記載があります。もしかしたら不斉配位子の噛んでいない Pd nanoparticle も反応を触媒し、エナンチオ選択性が下がるのかもしれません。
[論文] "Pd2(dba)3 as a Precursor of Soluble Metal Complexes and Nanoparticles: Determination of Palladium Active Species for Catalysis and Synthesis" Organometallics, 2012, 31, 2302.
[参考] Homogeneous catalysis not always what it seems (NNNS chemistry blog)
[関連] 触媒は思わぬところに; 論文 3 報 (気ままに有機化学)
HOPE ミーティングの講演動画をオンラインで公開中
アジアの大学院博士課程の学生とノーベル賞受賞者が交流する HOPE ミーティング、幸いにも 2 年前の第 2 回に取材の機会をいただき、このブログで紹介させていただきました。
・ HOPEミーティングをご存知ですか?
・ HOPE ミーティング: 人と人の化学反応
・ HOPE ミーティング Jr. (ジュニア): 小さな科学者の大きな経験
そしてこの 3 月には第 4 回 HOPE ミーティングが開催され、このブログでも 博士課程の方、第 4 回 HOPE ミーティングはいかがですか? や 有機化学系あれこれ 2011/9/19 で勝手に紹介してきました。しかしながら、参加したいけど諸事情で参加できなかったという方、博士課程でないため応募すらできなかった方もいらっしゃるかと思います。そんな方にちょっといいニュース。HOPE ミーティングの講演の一部が USTREAM で公開されています。下に根岸英一先生と鈴木章先生の講演の動画を貼っておきました (一時間以上の動画ですべて英語)。他の講演の様子も 公式チャンネル にあります。
あと注意点ですが、講演は HOPE ミーティングのプログラムの一部にしかすぎません。HOPE ミーティング: 人と人の化学反応 の末尾に書きましたが、私が感じた HOPE ミーティングは 「他の研究室・他の分野・他の国の人と話したり、研究以外の雑談をする『場』のひとつの形」 であり、「プログラムにない移動中や食事中のお喋りにこそ本当の価値があったのかもしれない」 と思っています。興味をもたれた方、現在博士課程未満の方は、講演の動画ごときで満足せず、来年以降の HOPE ミーティングに注目してみてください。
最後に、ノーベル賞受賞者との交流の場は小学生からポスドク研究者まで広く機会が用意されており、いずれも 1 年に 1 回程度開かれています。興味をもった方はぜひ参加してみてください。きっと肌でしか感じ取ることのできないものもあると思います。
・ 博士課程あるいはポスドク研究者を対象とした リンダウ・ノーベル賞受賞者会議
・ 博士課程の学生を対象とした HOPE ミーティング
・ 大学生や高校生を対象とした アジアサイエンスキャンプ
・ 高校生を対象とした HOPEダイアログ
・ 小中学生を対象とした HOPE ミーティング Jr.
・ HOPEミーティングをご存知ですか?
・ HOPE ミーティング: 人と人の化学反応
・ HOPE ミーティング Jr. (ジュニア): 小さな科学者の大きな経験
そしてこの 3 月には第 4 回 HOPE ミーティングが開催され、このブログでも 博士課程の方、第 4 回 HOPE ミーティングはいかがですか? や 有機化学系あれこれ 2011/9/19 で勝手に紹介してきました。しかしながら、参加したいけど諸事情で参加できなかったという方、博士課程でないため応募すらできなかった方もいらっしゃるかと思います。そんな方にちょっといいニュース。HOPE ミーティングの講演の一部が USTREAM で公開されています。下に根岸英一先生と鈴木章先生の講演の動画を貼っておきました (一時間以上の動画ですべて英語)。他の講演の様子も 公式チャンネル にあります。
あと注意点ですが、講演は HOPE ミーティングのプログラムの一部にしかすぎません。HOPE ミーティング: 人と人の化学反応 の末尾に書きましたが、私が感じた HOPE ミーティングは 「他の研究室・他の分野・他の国の人と話したり、研究以外の雑談をする『場』のひとつの形」 であり、「プログラムにない移動中や食事中のお喋りにこそ本当の価値があったのかもしれない」 と思っています。興味をもたれた方、現在博士課程未満の方は、講演の動画
4th HOPE Meeting: Prof. Negishi
4th HOPE Meeting: Prof. Suzuki
最後に、ノーベル賞受賞者との交流の場は小学生からポスドク研究者まで広く機会が用意されており、いずれも 1 年に 1 回程度開かれています。興味をもった方はぜひ参加してみてください。きっと肌でしか感じ取ることのできないものもあると思います。
・ 博士課程あるいはポスドク研究者を対象とした リンダウ・ノーベル賞受賞者会議
・ 博士課程の学生を対象とした HOPE ミーティング
・ 大学生や高校生を対象とした アジアサイエンスキャンプ
・ 高校生を対象とした HOPEダイアログ
・ 小中学生を対象とした HOPE ミーティング Jr.
ChemDraw を使いこなすための参考資料 [日本語]

ChemDraw を使いこなすための日本語のマニュアルや参考資料のサイトをまとめてみました。構造式をより素早く描画したい、反応機構の矢印や触媒サイクルなどの図形をきれいに描きたい、使いこなせていない機能を知りたい、という方にはきっと役に立つと思います。(もし他に便利な資料や情報などあればコメントください)
◆ 基本操作
・ ChemBioDraw V12 機能と使用方法 pdf (富士通、和光純薬)
・ ChemDraw〜分子の作図法〜 (1) (Chem-Station)
・ ChemDraw〜分子の作図法〜 (2) (Chem-Station)
◆ ホットキー、ショートカットキーの一覧
・ ChemDraw の HotKey について (化学の復習)
・ 特殊記号の出し方・ショートカットキーまとめ (たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ-)
・ ケムドローbot @chem_p (twitter)
◆ ホットキーをカスタマイズする方法
・ ChemDraw の HotKey について (2) (化学の復習)
・ ChemDraw弱者のためのHotkeyカスタマイズ入門 (どきどきジャイレース)
◆ その他
・ ChemDrawTIPS:ペンツールの使い方 pdf (柴崎・金井研究室)
・ ChemDrawTIPS:もう一工夫 pdf (柴崎・金井研究室)
・ 結合切断のハサミを綺麗に描く方法 (気ままに有機化学)
・ 有機化学の高額商品を安く買う方法 (気ままに有機化学)
・ ChemDraw を貼った文書の PDF 化トラブルと解決策 (気ままに有機化学)
・ ChemDraw の Align 機能: 分子の部分構造で揃える方法 (気ままに有機化学)
2012年2月発刊の有機化学関連書籍
◆ 和書
・ 量子論の基礎から学べる量子化学
・ 化学受容の科学: 匂い・味・フェロモン 分子から行動まで
・ トップドラッグから学ぶ創薬化学
・ パートナー医薬品化学 改訂第2版
・ グリーンケミストリー −社会と化学の良い関係のために−
・ レーザーと化学
・ 周期表に強くなる! 配置や属性から見えてくる 元素の構造と特性
・ 地球環境化学入門・改訂版
・ 現代化学 2012年 03月号 [雑誌]
・ 化学 2012年 03月号 [雑誌] (一部を除いて 化学同人 HP で無料で読めます)
◆ 洋書
・ Introduction to Strategies for Organic Synthesis
・ Elegant Total Synthesis: Targets in Organic and Bioorganic Chemistry
・ Stereochemistry of Organic Compounds: Principles and Applications
・ Organic Reaction Mechanisms
・ Bismuth-Mediated Organic Reactions
・ Oxidation in Organic Synthesis
・ Organic Chemistry Demystified 2/E
・ Introduction to Organic Lab Techniques
・ Computational Organometallic Chemistry
・ Halogenated Heterocycles: Synthesis, Application and Environment
・ Self-Healing at the Nanoscale: Mechanisms and Key Concepts of Natural and Artificial Systems
・ Chemistry of Nanocontainers
・ Molecular Theory of the Living Cell: Concepts, Molecular Mechanisms, and Biomedical Applications
・ Novel Sampling Approaches in Higher Dimensional NMR
・ Modern Charge-Density Analysis
・ Polyphosphoesters: Chemistry and Application
・ Mass Spectrometry in Polymer Chemistry
・ Supramolecular Polymer Chemistry
・ Radiation Processing of Polymer Materials and Its Industrial Applications
・ Polymers for Electricity and Electronics: Materials, Properties, and Applications